新たなプロジェクトが生まれる時、それは新たな課題が生まれる時でもある。モノづくりをゼロから考えていくことは難しい。
けれども、この仕事にやりがいが持てる絶好のチャンスでもある。そのことを、アイシン高丘の社員たちはよく知っている。
世界各国で環境規制が厳しくなる中、エンジンの効率化がもとめられ、ターボチャージャーの需要が増えると予測。その予測に基づき鋳鋼の鋳造ライン立上げに向けた検討を社内で開始し、技術を蓄積。2010年にはBMW中国向けのタービンハウジングを受注したのをきっかけに量産化に向けたラインが設置された。
(※)タービンハウジングとは、自動車のターボチャージャーに使用される部品で、空気ポンプの役割を有している。熱による変形や酸化などを起こしにくいと言われる特殊耐熱鋳物で製造されている。
- 佐藤:
- 「当初は、小さな炉で試作品を作る毎日でしたよ。まだラインも組まれる前だから、全てが手作業。試作品を製造しては、耐久・品質のチェックを行う。どのような材料・工法にすれば要望を満たせるのかを検討。プロジェクトがスタートしたといっても手探り状態でした。」
- 釜坂:
- 「プロジェクトが始まった段階では、各部署のスペシャリストが20名程集まり毎週ミーティング。求められている性能をどんなアプローチで解決していくか、正解はひとつではありません。これまでに培われてきたアイシン高丘の鋳造の様々なノウハウを参考にしながら方針を定めていきました。」
- 佐藤:
- 「それでもプロジェクトは簡単には進まない。乗り越えるべき様々な課題が山積し、それをプロジェクトチームは一つひとつ解消していった。技術面で壁にぶつかり、本当に困ってしまっているようなときに、今日まで蓄積してきた鋳造技術で問題を解決できると、こちらとしてもすごく嬉しかったね。」
改良を重ねて提案を続けるうちに、クライアント側からの評価も高まった。そして、約2年で鋳鋼技術でのタービンハウジングの量産が決まった。
- 花井:
- 「私は、量産化に向けて、どこに設備を配置し、どんな生産ラインを組み上げるかなど、初期の企画段階から任せてもらえました。安定して良品をつくる仕組みを整えるのは、技術者としての腕のみせどころ。当然、知識と経験が求められますが、先輩方のチカラを借りて何とか成果を出すことができました。このことが大きな自信にもつながりました。」
若いうちから様々な業務に携わり成長していく、それがアイシン高丘のスタンスだ。
- 花井:
- 「このプロジェクトを通して、人を大きく成長させ、喜びを与えてくれたと実感しています。自らの視界が大きく広がる感覚は、中々味わうことができないのではないかと思います。」
- 佐藤:
- 「自分の関わった仕事が、会社に貢献している実感を部下に味わってもらえたことは嬉しかったですね。若手のうちから、幅広い業務に挑戦できる。そんな可能性に満ちた会社ですよ。」
鋳鋼の知識がない中で、生産現場をリードしてきたこと。そのすべてが、各々の成長へと繋がっていく。プロジェクトを終えた今、彼らは何を想い、何を目指すのか?
- 花井:
- 「達成感と、感慨深さを覚えるのは、やはり多くの人と成し遂げたものだからこそ。これまでは自分の業務範疇しか見えていなかったのですが、全体を俯暇して見られるようになりました。」
- 釜坂:
- 「満足のいく仕事ができたとしても、後から振り返ると『もっとできたのでは?』と思うことばかりです。この仕事に100点はありません。与えられたミッションから、さらなる学びと成長を掴む事を常に意識し、技術者としてより高みを目指したいです。」
- 佐藤:
- 「あきらめず、前に進み続け新しい価値を生み出すことで人は成長し、会社は発展し続けます。新しいことにどんどんチャレンジさせてくれるアイシン高丘で仲間や部下とともに、未知の領域に果敢に挑んでいきたいと思っています。」